【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

「友莉。」



声が鋭くなるのは、とめられなかった。



「なぁに?」



顎で戻れと示す。



私の表情に慄いたのか、大人しく座りなおした。



「いいかげんにしろ。」



顔を近づけ、低い声で言い放つ。



偽善だと思われてもいい。



ただ、私が我慢できずに言ってしまっただけだ。



どう思われてもいい。



自分の中で腹は括れた。



私はそのまま友莉を睨み続けた。



明らかに変わった空気を感じたのか、ふてていた村井が身体を起こした。



「何?」



そして、顔を歪めて半泣き状態の友莉に気付いて、声をあげた。



私は答えない。



友莉も、自尊心で言えやしない。



私は何もなかったかのように、身体をもとに戻した。



「田中?」


「天誅。」



答えた田中さんの声は、いつも通り柔らかかった。