【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

「今更、参考書開いても、ねぇ?」ということになり、私達は開始時間まで話していた。



この際、「遊んでる男どもと一緒じゃないか」というのは置いておく。



逆にこの状況で、私達以外は参考書やプリントを睨んでいて静まり返っているこの教室で、私達まで勉強したら確実に逆効果だ。



少々うるさかっただろうが、ここは勘弁してもらう。



時間ピッタリ、試験管が3人教室に入ってきた。



「はい、座って。」



確実にこの言葉は私達に向けられたものだ。



一気にしーんとなった。



椅子を引く音だけが響く。



「…はい、では問題用紙を配ります。」



1人が列ごとに用紙を配り始めた。



と、椅子が振動した。



「何?」



少しだけ顔を逸らして小声を出す。



「ティッシュって、持ってる?」


「は?」


「俺の、切れた。」



そう言う村井は鼻をグズグズいわせている。



私はため息をついて、そーっとティッシュを渡した。



「サンキュ。」



受け取るや否や、村井が鼻をかむ音が教室に響いた。



配っていた試験管が素早くこっちを向く。