【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

艶っとした黒髪、比較的大きな目、シャープな顎。



村井悠士。



何かと縁がある男だ。



平たく言えば、腐れ縁。



じっと睨み合うこと数秒。



と、いきなり村井は声を上げた。



「おっ、田中こいつの後ろ?」



ガガッと机を引っ張っていた田中さんが顔を上げた。



「悠士(ユウシ)、そこか。」



ほにゃっ、という効果音が似合う笑みを浮かべて、田中さんは村井を見た。



「こいついなけりゃ俺達近かったのに。」


「なぁ。」



あんたら酷くないか?



私だって好きでこの席に来た訳じゃない。



そして隣はといえば… 



「あ〜、泰那(ヤスナ)だ〜。」


「よろしくね、友莉(ユリ)。」



ヒクッと頬が引きつる。



止めてくれ、と内心呻く。



友莉。



言葉を選ばず言ってしまえば、かなり鬱陶しい。



上手く説明出来ないけど、取り敢えず苦手だ。