【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

願いが届いたのか、しばらくして入ってきたのは女子だった。



「小百合(サユリ)。」


「あ、泰那だ。
よかった~。
仲良しの子、みんな隣だったんだ。」



行って、黒髪ショートの小百合は田中さんの前の席にカバンを置いた。



「うん。
なんか、みんな違う教室で私達だけこの5席みたい。」



小百合の前はどうやら河岸だったようだ。



既に、村井達と後ろで騒いでいる。



そして河岸の前は他校生だった。



「私達、5人?」


「うん。
他みんな知らない人みたい。」



ガックリと小百合がうな垂れた。



「なんか、寂し…。」


「隔離された気分だよね。
しかも、一緒の奴らが…。」



チラホラ集まってきた生徒は参考書を開いてるけど、3人は幼稚園児顔負けに遊んでいる。



どうして中3にもなって、シャーペンを銃に見立てて遊べるのか。



心底不思議だ。



まあ、田中さんは傍観しているけど。



「アレだよねぇ。」



小百合は苦笑して後を引き取った。



「まぁ、泰那が一緒でよかった。」



小柄な小百合は童顔で、笑うとすごく可愛らしい。



釣られて私も笑顔になった。