【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

4級をもっている人を馬鹿にしているわけではない。



もう高校生にもなろう者が、4級を難しかったなんて言っているのを笑っているだけ。



しかも、4級程度なら村井は楽々受かるはずだ。



「へぇ、すごいな。
なぁ、宮崎?」



声が「やれ」と言っている。



顔を上げると、悪戯に笑っている村井と目が合った。



クイッと顎をしゃくりもしたから、やらないわけにはいかない。



「ね。
私も漢検受けたよ、知ってた?」


「ううん。
何級?」



ククッと喉を鳴らした村井を気付かれないように蹴る。



ビクッと村井は身体を固まらせた。



私は笑顔のまま友莉に向き直る。



「2級。」



端的に述べて、黒板に目を移した。



もう、村井は肩が揺れている。



もう一度、私は村井を蹴った。



今度は少し強く。



友莉にはこの水面下のやり取りは見えていないはずだ。



言葉を発さず、黙った友莉に村井はまた爆弾を放った。



「なぁ。
宮崎。」


「…何。」