【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

私はため息をついて、村井の制服の袖を引っ張った。



「ねぇ、村井、ここの漢字ってこうだよね?」


「あ、うん。
多分な。
俺、漢字苦手だから、あくまで多分な。」



あっ、馬鹿!


私はキッと村井を睨んだ。



村井は面食らっている。



漢字苦手、とか言ったら、友莉が食いついて…



「へぇ、悠士くん、漢字苦手なんだ。
あたし、超得意~。
この間漢検、取ったんだ~。
何級だと思う?」



これか、と鎮痛な面持ちで村井は目を閉じる。



あんたのミスだから、自分で対処して。



私はまたペンを走らせた。



「結構上の級なんだ?」



言うからにはね。



私、この間2級の漢検受けたんだけど、友莉いたっけ?



私が耳を澄ませていると、友莉が自信満々で答えた。



「4級取ったよ~。」



私は思わず吹き出した。



村井が私を見たのが気配でわかる。



「4、級?」


「うん。
結構難しかったぁ。」



「へ、へぇ。」



声色でわかる。



村井も笑いを堪えている。