【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

逃げているのが私にはバレバレだ。



少し助けてよ、という意味で椅子を蹴る。




ちょん、と遠慮がちに足が蹴り返された。



三回。



きっと、“ゴメン”か“悪い”か“いやだ”だろう。



半分の確立で“いやだ”だ。



諦めた直後、友莉自ら村井を引き込んだ。



「ね、悠士くん、聞いてるの?」


「…。」



後がうるさい、と諦めたのか、村井は私達のほうに身体を向けた。



ご愁傷様。



片手で軽く拝む。



はぁ、と小さくため息をつき、村井は言った。



「何?」


「そういえば、悠士くん、私立受けるんだってね。」


「うん。
公立一本じゃ危ないから。」


「そうなんだ。
あたし、受けないんだぁ。」


「へぇ。」



こうなったら、私は必要ない。



完璧に友莉の注意は私から村井に移っている。



私はこれ幸いと身を引いた。



“受験に出る、大切。”と囲まれた部分を色ペンで書いていると、村井からヘルプが出た。



机の下で、またちょんと足を蹴られた。