【短編】中学3年生〜受験と卒業〜

村井は本当に困った顔で、窺っている。



「怒ってんの?」


「別に。」


「それ、怒った声じゃん。」



途方に暮れたように、脱力する。



「村井が当てたわけじゃないじゃん。」


「でも俺も一緒にやってたしさぁ。」


「そんな謝るなら最初からやらなきゃいいじゃん。」


「だって、楽しくてさぁ。」



なんだか子どものやり取りだ。



「もういいよ。」


「やった。」



急にシャキッとした村井に少しムッときて、私は一言付け加えた。



「もし今度やったら…。」



村井は続きを待っている。



私は敢えてそのまま黙った。



「え、何?」


「…。」


「何!?
何すんだよ!?」



焦れ、独りで焦ってろ。



近所に住んでいる年の近いいとこ兄弟に揉まれて育ったせいで、どうも性格が曲がったようで。



母親が望む「女の子」から少し外れた「男んなの子」になった。