「……ああ」 香織の横顔は、笑っているはずなのに、少し寂しげだった。 俺は結局、アメリカに留学することにした。 確かに徹司が言った通り、その気があればいつでも留学できるのかもしれない。 けど、うちだって大金持ちっていうわけではない。 せっかく学校が資金を援助して、その舞台まで用意してくれたのに、それをみすみす逃すわけにはいかないと思った。