「うわぁ〜〜〜。ごっつい綺麗やなぁ」 あれから更に夜が更け、カズくんに誘われるようにベランダに出たうちは、大きな満月が黒い空に浮かんでいるのを見つけた。 「これ。のぞいてみて」 カズくんがベランダに設置されていた天体望遠鏡を遠慮がちに指差した。 「くれぐれも、望遠鏡には触らないようにね」 カズくんの注意を聞いたうちは、両手を背中に回して軽く組んでから望遠鏡に近付いた。 そっと、望遠鏡の中を見つめる。 すると……