うちが玄関先で拒絶しとったら、いきなりカズくんに左腕をつかまえられた。 「…嫌や。気まずいんや」 うちが下を向きながらそれだけ告げると、 「なんで?」 目の端に映ったカズくんのメガネの奥の瞳が、少し曇った気がした。 確か、うち――― ケン兄ちゃんのこと、『幼なじみ』としか説明してなかった…よな?