家に帰るとボロボロな我が家に麻那ちゃんがいてニコニコしていた。
「たっだいまあ。どうしたの?」
夏恋が顔を覗き込むとひゅっと後ろを向いた。
「おかえり。なんでもなあいよっ!」
明らかにおかしい。
悲しそうというより・・・・・・嬉しそう!
「なになにー?」
しつこく聞くと麻那ちゃんは前を向いて夏恋の目を見た。
「引かない?」
夏恋は頭を縦に振った。
「できちゃった・・・・・・。」
夏恋の心臓の鼓動が早くなる。
できたって・・・・・・。
「あ・・・・・・かちゃん?」
夏恋は泣き出しそうになった。
もし赤ちゃんができていたらと不安で。
そもそも麻那ちゃんに彼氏が・・・・・・?
不安で不安で苦しくなった。
「・・・・・・なんちゃって。」
「うそおおおおおおおおお!?」
胸をなでおろした。
「本当はなにができたの?」
「できたっていうか、遥が明日退院だから部屋を掃除したってくらいな・・・・・・。ふざけてごめんね。」
どうしよう。
この家に遥が帰ってくるなんて聞いてなかった。
遥を避けて過ごしてたから。
急に帰ってこられてもきっと大変な思いをするよ。
「そうなんだ・・・・・・。」
夏恋と遥は今も恋人。
だからあたしは遥をフラなきゃいけない。
それが誰のためかは分からないけれど付き合ってられないことは分かる。
帰ってきたらはじめに何をしようか・・・・・・。
でも、できれば帰ってこないことを願ってしまったんだ。

