家に帰りもくもくと勉強していると綺麗な花を抱えた麻那ちゃんが帰ってきた。
 「おかえりー。」
 「ただいま。」
麻那ちゃんは花をおろしてあたしの前に座った。
 「今日は美羽が逝って3ヶ月。お墓参りに行こうかなって。」
麻那ちゃんは涙目になっていた。
思い出すだけで辛くなるんだ。
 「あたしももちろん行くよ。」
タンスの中から黒い服を引き出して着替えた。
麻那ちゃんと2人でバスに乗って、ほとんど無言で墓に着いた。


 「美羽・・・ここにいるんだ。」
麻那ちゃんは泣き崩れた。
冷たい水をお墓にかけて洗って、お花も添えて食べ物も添えた。
 「お腹減ったよね・・・。3か月分だからいっぱいあるからっ。」
麻那ちゃんの涙と手は止まらなかった。
あたしはただただ立っていて、美羽に心から話しかけた。
 「美羽がいるから頑張れるよ。ずっとずっと忘れないよ。美羽はずっとあたしのひかりだよ・・・。」
自分と美羽を勇気付けるように唱えた。
美羽は今もここで生きている。
 「美羽との思い出全部忘れないからっ。」
麻那ちゃんが頭を抱えてしゃがんだ。
あたしなんかより麻那ちゃんは美羽との思い出が大きい。
だからこんなにも悲しい思いをするんだね。
・・・でもあたしも苦しいよ。
叫びたいよ。
どうして・・・美羽が逝かなきゃいけなかったの?
美羽はまだ生きるべき人なんだよ?
あたしが・・・あたしが死ねば良かったのに。
でも、そんなこと美羽に言ったら、美羽は怒っちゃうね。
だから、心で思うだけにするよ・・・。
 「絶対に美羽のこと忘れないから。美羽のこと誇りに思ってこれからも生きていくね。だから・・・また会おうね。そしたら永遠に語り続けられるくらいたくさんのお話をできるように美羽に話すこといっぱい作っていくよ。」
そう、また会うときは永遠に話が尽きないように。
永遠に隣に居られるように・・・。