その日麻那ちゃんは帰ってこなかった。
あたしは1人で寒い夜を過ごし涙を流した。


学校に行くと可愛い女の子の転校生が来るという噂が流れていた。
あたしも耳を傾けて興味をしめした。
女子も男子もテンション上げてはしゃいでいる。
 「おっはよ」
時田があたしの背中を押した。
温かい手・・・。
 「おはよお。転校生の話聞いた?」
あたしも押しながら言うと時田は親指を立てた。
「聞いたよ」のメッセージ。
あたしも親指を立てて時田の親指にくっつけた。
笑顔を時田に見せると時田も笑顔を見せてくれた。
 「楽しみだね。座るか!」
飛び跳ねながら席に着いた。
こんなことが嬉しい。
なんか時田とすることは「友達」って感覚でするから楽!



 「転校生を紹介するぞ。三波梓だ。仲良くしてやれよ。」
先生の隣で微笑んでいるその女の子はすごく可愛い。
なんていうか・・・お人形みたいだ。
クラスのみんなが「かわいいーっ!」なんて言って騒いでいるなか、あたしはじっと彼女を見つめていた。
 「三波梓です。話しかけてもらえると嬉しいです。宜しくお願いします。」
声も可愛くてパーフェクトな女の子って感じだった。
三波さんの席は時田の隣。
時田は早速話しかけて楽しく話している。
時田の顔は無駄に整っているから三波さんとお似合いだ。
ちょっと悔しかったり・・・はしないもん・・・。
あたしは2人を見るのをやめた。
そしてあることを考えてしまった。
時田を名前で呼びたい。
焦ってきて、あたしだけ呼べる名前が欲しくなった。