登下校1人。
そんな生活に戻ってしまったが気持ちは違う。
美羽が幸せに他の人と歩いている姿を想像するから。
あたしも1人が楽しい。
美羽をみてあたしも恋をしたいという願望はあるけどあたしはきっと恋なんかに恵まれてはいないから・・・。

学校でも美羽といることは減った。
彼氏とご飯。彼氏とお休み。彼氏とサボり。
などと言ってあたしを置いていく。
・・・それでも良かった。
彼氏は誰だかいまだにわからないけれど、あたしにそんな権利は無いし美羽の幸せが最優先。
それに、あたしにも新しい友達ができた。
転校生の時田風真。
初めての男友達。
時田とはすぐに仲良くなれたような気がした。

 「俺の趣味?」
出会ってからあたしは時田に質問攻めだった。
 「そう!趣味ってなんかその人が分かる気がするんだあ。」
なんて言って笑って。
毎日時田は笑顔で聞いてくれた。
 「なんだろ・・・部活は野球だから野球かな?」
野球。野球。カッコイイなあって思ってしまった。
・・・そういえばあたしは時田に出会って変わった。
性格は明るく無邪気な感じになって見た目も派手から卒業した。
時田に変に思われたくないって思ったから。
 「夏恋は?」
時田はあたしを名前で呼んでくれる。
実はそれがすっごく嬉しい。・・・なんていえないけど。
あたしも名前で呼びたくて何度も練習したけど無理だったんだ。
「時田」っていいつつ「風真」って呼んでる。
 「分かんない。生きてることかな。」
あたしがつぶやくと時田は優しく微笑んだ。
そして、
 「夏恋は素敵だね」
って言ってくれた。