両親が離婚した。
2人の間に愛がなくなった。
きっと、あたしへの愛もなくなった。
母に引き取られるも、毎日荒れ狂い家は崩壊した。
あたしの居場所はなくなった。

名前も呼ばれなくなった。
「里谷夏恋」というあたしの名前が消えた。
生きている証もなくなった。
必要とされていない自分。
どうせならもう・・・死のうと思った。
生きている理由がなかった。
あたしの周りには誰もいない。


銀色の刃先が光った。
このカッターナイフであたしは手首を切る。
深く深く傷をつければ死ねると思っていた。
でも、切れなかった。
勇気がなかった。

母はあたしが死ぬと言っても何も変わらなかった。
 「あんたなんか死ねないでしょ。」
髪をくしゃくしゃにしてあたしを睨んだ。
母の大量の香水の匂いが鼻につく。
 「お母さん臭いよ。」
あたしが涙目になって言うと、
母は自分の匂いをかいで気持ちよさそうに言った。
 「文句言うならでてけ。あんたはいてもいなくても変わらないから。」
心に突き刺さった母の一言であたしは家にも帰れなくなった。
行き場所がない。
あたしの居場所がない。


どうしてあたしはここにいるの?