優しく穏やかな声に、忍は自らの胸に問いかけた 自身の、本当の気持ち それを知ったら、何かが変わる───? 園村の離れに植えられた梅の木を見上げ、月子は自分でも驚くほど落ち着いていた 焦ることも、怒ることも、泣く気持ちもなかった 忍が戻ってきたとき、泣かないで済むよう、たくさん泣いておこうと思っていたのに 全く、涙が出ない こんな夜なのに、泣けないなんて・・・