自分が月子に好意をもたれているなんて思わない ひどいことばかり、してきたから 恨まれても、憎まれても そんな形でも、覚えていてほしい そう思うのは、傲慢なことなのだろうか──? 線香の香りに、月子はうつむいていた顔を上げる 母の遺影に手をあわせる姉の後ろ姿を見つめて、月子はこれが夢でないことを知る 「・・・・・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・・」