てっきり、呆れたため息が返ってくるものだと思っていたから


「だ、大丈夫です」


割れた花瓶の欠片を、月子が拾おうと手を伸ばす


「待て。怪我をしては危ない。・・・僕が片付ける」


そう言うと、忍は伸びてきた月子の手を掴み、気まずそうに視線を逸らした





自分の部屋に忍がいるのは、初めてではないが、緊張してしまう

そのせいか、呼吸をするのも忘れてしまいそう

割れた花瓶の欠片を片付けて、忍が立ち上がると、月子も申し訳ないように立ち上がった