「映画見てもいいし、ご飯を食べに行くのもいい。それとも、服でも見に行く?」

「いえ・・・」


理生のどの提案にも、心は動かない

何にも、興味がわかないのだ


「月子ちゃんの好きなもの、って何?」

「私の、好きなもの・・・?」


なんだろう?

自分でも、分からない


「・・・・・・月子ちゃん、なんにも持ってないの?」

「・・・・・・・・・ごめんなさい」


謝るほどのことではないのかもしれない

それでも、何も持っていない自分が、ひどくちっぽけに思えた