緊迫した室内で、月子の声はよく響いた 父は驚いたように月子を見、美登里はただ、見据えている 「私が、姉のかわりに結婚します。ですから、どうか・・・ッ」 「月子・・・」 頭を下げる月子を、父は必死に起こそうとする 「やめなさい!お前は関係ないんだ!!」 「お姉ちゃんのせいで、お父さんが会社を辞めさせられるなんて、嫌だものッ」 病気の母の入院費の為と、父は夜遅くまで、休日も仕事をしていた その父を、姉の犠牲にしたくはない