一応処置は終わった、という訳で頭に氷を乗せながら、とりあえず保健室を後にすることにした。


「失礼しま、した…。」
「じゃーな、泉ちゃん。」
「おう。」


また来いよ、と機嫌良く言う先生に苦笑いを返す。
扉を閉めると、いっきに疲れがやってきた。

はぁ、と大きな溜息がこぼれる。


「お疲れ様。泉ちゃん、ちょっと個性強いからなー。」
「ちょっとじゃ、なかったです…。」


ぼそっと呟いてから、思い出し付け足す。


「あの、ありがとうございました。」
「ん?なにが?」
「心配してくれて。」


氷が乗った頭を指差すと、ああと頷く宮城さん。
微笑むと、目の端にくしゃと皺が寄って親しみがわく。


「何ともなくて良かった。」
「ありがとうございます。」


つられて微笑み返す。
と、宮城さんは少し真面目な顔になり。


「俺も特別保健委員だからさ。」
「あ、やっぱり。」
「あれ、わかってた?」
「はい。委員会に詳しかったし…。」

それに校舎裏での先輩方の逃走具合も思い出すと、なんとなく予想は出来ていた。
そっか、と呟く先輩に頷くと、宮城さんはまた少し目元を和ませて告げた。


「ま、なら話が早いや。…特別保健委員、曽我さんも参加しよう。」
「へ?」
「俺、今2年だから来年もいるから。」


それだけ言うと、ふっと爽やかな微笑を浮かべて。


「待ってるから。」


そう私に告げると、部活があるからと去って行った。


私はと言えば。
あまりの爽やかな笑顔に当てられて、しばらくその場を動けなかった。