そんな行動ひとつひとつをついつい観察してしまう千歳。対して千早は、千歳へというよりは自分に何か答えをだすかのように一つ頷いて、すっと立ち上がり、着替え一式を手にシャワールームへと姿を消した。
それを見送り、千歳は改めてベッドに身を投げ出す。
ようやく独り気兼ねなく息をつけるような安堵感に、ベッドから投げ出した四肢から力が抜けていく。顔を横に向けると、ガラステーブルの上、千早が置いていったカップと少し離れて置かれた自分用のコーヒーカップが目に入った。そういえば自分も飲むつもりで入れていたが、千早の着替えを用意してる間に忘れていた。
飲もうかどうか少し迷ったが、起き上がるのもしんどく、どうせもうぬるくなっているだろうという結論に落ち着く。熱いのも苦手だが、一定以上ぬるくなってしまったコーヒーはやっぱりマズイものだ。
全身がだるい。そういえば風邪をひいていたのだと思い出す。薬で押さえられていた症状がまた出てこようとしているのかもしれない。今は少しでもゆっくりしたい。

