花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


 そして運動神経の良さには目を見張るものがある。
 小さな身体ながら持久力もあり、反射神経も良く、手先も器用。
 清掃のアルバイト以外にも色んな運動部で助っ人をやってアルバイト代を稼げるほどだからたいしたものだ。実際綾人の所属するバスケ部も何度か世話になっている。
 それだけの運動神経をもっていながら特定の部に所属しないのはもちろん本職のバイトもあって余裕がないからだとは分っているが、実に惜しい人材だ。
 そして、性格。
 理事長の娘である小梅の従兄……そんな立場的なものもあり当り障りなく接してくるほかの級友達と反して、容赦なく痛く冷たい態度で返してくる千歳の反応は、綾人にとっては寧ろ快感だった。
 こっちは好意を寄せているにも関わらず、少々冷たすぎるんじゃないかとも取れる千歳の態度。けれどそれは、何の遠慮も偏見もない証明でもある。
 それが嬉しくて、ついついちょっかいを出してしまう。
 綾人としては心底仲良くなりたいと思っているのだが、それはどうやら難しそうではある。それでも、それで構わないとも思えてしまう。
 千歳のことを考えているとついつい気分が楽しくなってしまう――