花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


 さっと着替えを済ませてスポーツバッグに詰め込むと早々に戸締りをして退散する。
 千歳を少し構いすぎかなと自分でも思うがどうにもやめられない。
「なんか日に日に嫌われてる気がするよなあ~」
 独りぼやきながら部室のドアに鍵をかける。
 小梅の部屋に子供の頃から飾ってある写真の主。
 初めて見た瞬間可愛いと思ったのは本当。女の子と間違えてしまうくらい……子供の頃から可愛かった。
 男の子だよと、頬を薄ら染めて言う小梅に、うそだ~なんて言って疑っていたけど。年々増えていく写真の中で成長していく千歳はだんだんそれなりに男っぽくなっていって、それが本当なのを知った。
 高校に入って奇しくも同じクラスで千歳を見た時、彼が男子生徒ならではの詰襟姿なのを見てようやくそれに納得した。
 ちょっと惜しいな、とは思ったけれど――やっぱり気になるのは変わらず。
 見かけと中身のアンバランスさもそうなのだが、やたらと気を張っているように見える千歳の頑張り具合は妙に綾人の興味をひくのだ。
 家庭環境のせいもあるのだろうけど、妙にしっかりしていて。学校住み込みで働きながら……確かにそんなに成績が特別良いほうではないが授業はいつもきちんと聞いている。
 さすがに相当疲れが溜まるのか、時々起きているのがつらそうな時も見受けられるが……なんとか起きていようと目をしばたかせ、眠気と格闘している姿がいじましい。