「しょ……処分……」
千歳がまだ説教をしている途中で、理事長はそう呟くとふらりと眩暈でも起きたようによろけて壁にもたれかかった。
「なんてことだ……あああ。僕の希望の光が……処分……あああ……」
意味不明の台詞を呟きながらさめざめと泣き始めた理事長に、千歳はげんなりとした表情を浮かべる。
「いや、鬱陶しいし。泣くほどのことですか。どうせろくなものじゃないんでしょう? 一体何を作ったんです?」
「それは……」
千歳が尋ねると理事長はぴたりと泣き止み口篭もる。嘘泣きかよ、と内心舌打ちする千歳に向かい不審な笑みを浮かべ。
「ひ・み・つ」
「……最高に気色悪いし……」
千歳はガクリと肩を落とした。
ああ、嘘だといって欲しい。嘘ならどんなにいいだろう。
こんな奴が小梅の父親だなんて信じたくない――いや、間違いだ。きっと何かの大きな間違いだ。
現実を否定するように頭をぶんぶんと横に振る。あまりに強く振ったために千歳まで軽く眩暈に襲われる羽目になってしまった。
「おっと……」
思わずよろけたところを、ついさっきまでふらふらしていたはずの理事長が何時の間にそんなに素早く動けるようになったのか、絶妙のタイミングで受け止める。
「あ……ども……」

