初めて出会ったのは小学校に入った時。
隣の席になった女の子は、当時から小柄だった千歳よりも更に小柄で、周りの女子と比べても一回り小作りな顔の中でくるくるとよく動く瞳だけがやけに大きくて、とてつもなく可愛らしかった。ラッキーだと内心ガッツポーズを決めたものだ。
頭がいいわりにどこかぼーっとした性格で、見かけの可愛らしさとどうやら家は金持ちらしいという話が出回ったことから反感を買ったのか、一部の女子にちょっかいをだされたり意地悪めいたことをされたりもしたのだが……それすら気がつかずのほほんとしてる様子は見ていてどこか危なっかしくて保護欲を掻き立てられた。
自然、いつも側にいるようになり、フォローしたりしているうちに打ち解けて、そのうち小梅も千歳の側に常に自分からいるようになった。
頼られてるという感覚がまた、千歳を嬉しくさせてくれて……ずっと小梅を守るという使命を千歳が己に課すのは実に自然な流れであり、そうして今に至る。
「ごちそうさまでした」
一人住まいを始めた千歳のために毎日小梅が作ってくれるお弁当。
飽きないように毎日趣向を凝らしたその中身には確かに愛情がこもっている。
互いにそういう言葉をはっきりと形にしたことはなくとも確かに心が繋がっているのを実感できる。
その贅沢に心から感謝して手を合わせる。
確かにそのぶん苦労している面もあるのは否めないが、やっぱり神様は見ていてくれると思う。努力する者にはきちんとご褒美も用意してくれているものだ。

