花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~





 平凡にして、時々非現実的だったりもする日々。
 少しだけ変化した千歳の日常。
 けれど、それもそう悪いものではない。



「ちーちゃん、どうしたの? 早く行こ」
 ぼんやりと考え事をしていたら、三人に少しだけ遅れをとっていた。小梅の声でそれに気付き顔を上げれば、不思議そうに首を傾げて自分を振り返る三人の顔。
「わり。ちょっとぼーっとしてた」
 頭を掻きながら足を速める。そんな千歳を見た小梅が、早く来いとせかすようにくるりと回って背を向ける。ひらりと舞うスカートの裾の軽やかな動きが踊っているように見えた。その隣で、千早が笑顔を見せる。
「歩けないならいつでも抱っこしますよ姫様~」
「馬鹿言うな! 冗談じゃない」
 おどける綾人に怒鳴りながら、それでもやけに楽しくて浮かれた気分は消えることは無い。そしてそんな自分でいいのだと。これが自分なのだと……そう思いながら、千歳は早く三人に追いつくよう、強く、地面を蹴った――

                                     

【終】