花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


 広い敷地内を駆け回るうちに時間はどんどん過ぎていく。
 何度かプレハブにも戻ったが千早は帰っておらず、校庭から人影が少なくなり、薄暗くなってきても。部室や教室の灯りがすっかり減ってしまっても――千早の姿は見つからない。
「……はあ……はあ……」
 ひととおり校内を一周し校庭の隅に戻って来た頃、腕時計のアラームの音に気がつき、千歳は足を止めた。十八時半。最後にプレハブに戻った三十分ほど前には綾人が部活を終えて来ていて。綾人も探すのを手伝うといって学校周辺を探索してくれている。どうしても見つからなかった時には、一旦その時間にプレハブに集合しようということになっていた。
 理事長が戻るのは十九時くらいだというのは千早も聞いていて知っているはずだ。どのみち明るいうちに見つからないなら、暗くなって探すのはもっと無理だ。一度戻って、千早が自分で戻るのをぎりぎりまで待つしかないだろうと、三人で話し合ってそう決めた。
 あらかたのところは探した。それで見つからない。そして暗くなっても尚戻っていないとなると……やはり千早は散歩にでたわけではないのだろう。どこかに故意に姿を隠している可能性が高い。そうなると見つけるのは不可能に近い。