花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


 言葉がそこで途切れたから。
「俺が、何?」
 思わず聞き返していた。けれど、しばらく待てどその問いに答えは帰って来ず。
「……迷惑かけているよな」
 そんな言葉が返って来た。
「おい……千早?」
「でも、明日までだ。明日になれば……はっきりするんだろう? だから……」
「え? いや、だからまだあれは確定じゃ……」 
 見えはしないが、千早がいる方向へ顔を向ける。けれど、
「ごめんな」
 言いかけた言葉を拒絶するような短い言葉を一つ残して、千早はそれ以上口を開くことは無かった。
 もやもやとするものを感じながらもその沈黙の重さに気圧されて、千歳もそれ以上何も言葉を出すことが出来ず、見えない千早に背を向けて体を丸めなおす。
 疲れていたはずなのに。寝不足だったはずなのに。
 その夜はやけに目が冴えて――千歳はなかなか寝付けず、何度も何度も……意味なく寝返りを繰り返した。

   +++

「じゃ、さすがに今日もさぼるわけにはいけないからな」
 カップに残っていたコーヒーを飲み干し、制服姿で鞄片手に立ち上がる千歳を千早が見上げる。