まるで、女だ。
そう思って千歳は頭をぶんぶん振る。おかしくはない。千早は女なのだから……でも、けれど、その姿はどうしても自分とだぶってしまうから、まるで自分が女装しているのを見ているようで恥ずかしくてたまらないのだ。
手に持っていた袋を床に置いて、慌てて箪笥から薄手のシャツを取り出すと、千歳はそれを千早に投げて寄越した。
「それ、着とけ」
「え?」
「や……夜は冷えるから……」
「?? そうか? うん……わかった」
素直に頷きシャツを羽織る千早にホッとしつつ
「じゃ、俺も浴びてくっから」
その場から逃げるようにシャワーに向かう。人一人入るのがやっとの狭い浴室で勢い良く出したシャワーを頭から浴びながら、落ち着け落ち着け落ち着けと念仏のように何度も唱えて、ようやく動悸が落ち着いてきた。
どうかしている。
ついつい忘れてしまうが、似ているとはいえ女なのだ。けれど、顔が同じなのは変わらない。なのに、なのに――
「かわいいとか思うの、やばいだろ俺」
ナルシストだったというのか。それも違う。理事長や綾人の変な病気が移ってきたとでもいうのか。それは心から勘弁願いたい。
「しっかりしろ、俺」
自分に言い聞かせ、平常心を取り戻す。おかしなこと続きで精神的に参っているのだ。そう思いませる。

