花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


 小梅に習いながら途中から千早も手伝い、出来上がったクリームパスタを食べ終える頃には――部活を終えて一度家に戻った綾人が、約束どおり毛布とシーツを持ってやって来た。
「うわ、残念。俺も食いたかったなあ~」
 空になった皿を眺めて指をくわえる綾人を小梅がまた今度ねとなだめ、しばらく喋った後、そのまま送ってもらってもらうと、千歳と千早を残して小梅と綾人は帰っていった。
「先にシャワー使っていいぞ……って、あれ? シャワー大丈夫なのか?」
 その間に寝床を用意してやろうと思い言いかけて、ふと思い出す。あの背中の文字……消えたらまずいことになるようなことを言っていた。まだ、理事長に確認したわけではないから確定ではないが、もし千早が本当にゴーレムだったなら……そう思えば気をつけなくてはいけないことなのではないだろうか。
「ん? ああ……痣のことか?」
 千歳が何を考えているのかは千早にもすぐに伝わったらしく、一瞬背中の方を気にするように背後に視線を動かしたものの、
「大丈夫だろう多分。昨日も使ってなんともなかったし……水とか洗剤で消えるわけじゃなさそうだ」
「そか。そういえば、そうだよな」
 そう言う千早に千歳も頷く。一瞬見ただけではあるが、確かに書かれていると言うよりは皮膚の一部が変色して盛り上がっているような感じだったから、少し洗ったからといって消えてしまうようなものでもないだろう。
「着替えあるのか?」
「うん。小梅がまたマキさんて人から寝巻きも借りてきたって持ってきてくれた」