花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


「そうだね。千早さんは学校の中が一番知ってる場所だもんね……ここが一番落ち着くんですよね」
「……うん」
「だって、ちーちゃん。そういうことなら仕方ないよね」
「え……まあ。……うん」
 小梅に押されて条件反射で頷いてしまった。まあ、綾人が何か持って来てくれるらしいから寝床はなんとかなりそうだし、
「良かった」
 ホッとしたように言う千早の声を聞けば、まあ、いいかと思った。
「ん~……でも、残念です。今夜は小梅特製のクリームパスタをご馳走しようと思ってたのに……」
「え? クリームパスタ」
 小梅の何気ない一言に、千早ではなく千歳が反応した。
「あ。そういえばちーちゃん好物だよね……そうだ、いいこと考えた」
 そんな千歳に小梅が顔を綻ばせた。
「ここで作ればいいんだ。ここ、キッチンあったよねちーちゃん。今夜は小梅がここで晩御飯作っちゃいます」
「え? いいの?」
「はい。どうせ今夜はパパもいませんし、ママもまだ出張中です。マキさんにさえ言っておけば大丈夫ですから……そうと決まれば急がなくっちゃ。一回家に戻ってマキさんに言って……それからお買い物行ってくるね」