花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


「あの……千歳……わたしは本当に……」
「怒鳴って悪かったな」
 おずおずと言いかけた千早の台詞を千歳は遮る。何を言おうとしているくらいわかる。ささやかな抵抗だ。
「しっかし、なんで今日に限って出張なんだよ理事長の奴」
 どっかと床に腰をおろし、怒りの矛先を変える。
 そう、悪いのは千早じゃない。
「この騒動の責任、どうしてくれるつもりだよ。あ~むかつく……とっとと問い詰めて白状させて白黒つけて……」
 ぶつぶつと怒りをたぎらせる千歳だったが
「ごめんね。ちーちゃん……パパがおかしなことばっかりするから」 
 隣に腰をおろした小梅の声にハッとする。
「や、小梅が悪いわけじゃないしっ……」
「でも、小梅ちゃんのパパだもんねー」
 怒りのあまり忘れていた事実を思い出すと同時に綾人に突っ込まれ、千歳はぐう、と言葉を飲み込む。さすがに言い返すことは出来ない。
「とにかく。悪いのは多分……理事長だけなんだから。明日帰ってきたら確認しにいく。そんで今後の対策を考える」
 綾人の顔は見ないようにしながら、これからの計画を口にする。