「ゴーレム……ねえ。それにしても生々しく人間ぽいよな。てか、普通に女の子にしか見えないよなあ~」
綾人が信じられないと言った様子でぶつぶつ言いながら千早へと視線を送る。
「ゴーレムは人造人間の類と言います。人間とつくくらいですからゲームとかのイメージが間違ってて、本当は人間とそう変わらないものなのかもしれないです」
淡々とつぶやく小梅だが、表情から戸惑いは隠せない。知りたいという千早のために嘘をつくよりも自分がわかる範囲内で得た情報を正確に伝えようとしているも、千早の気持ちを思っていないわけではないはずだ。複雑な表情からそんな小梅の揺らぎが伝わってきて、千歳はやるせない気持ちになり口をつぐんだ。
千早も黙って聞いているものの、その表情は暗い。千早自身もう、何が起きて何が理由でこんなことになってしまっているのか、あらかた想像はついてしまっているのだろう。
千早にはじめて会った時に、理事長が過去に何を作ったか、あの日に千歳がゴミ捨て場に何を捨てたのか、そばにいた千早も聞いている。
それらの状況と小梅が読み上げた本の内容を照らし合わせてみれば、想像出来る事。そしてそれは他のどんな仮説よりも有力な説得力があるのだ。
「でもさあ~」

