「だからさ、とりあえずやっぱり綾人は学校戻ってくれないか?」
「そういうことならっ」
単純というべきか、素直というべきか。千歳の言葉にいとも簡単にのせられた綾人はぶんぶんと首を縦に振り、まかせろとばかりに胸を叩いてみせる。千歳は表情をキープすることに全精神力を注ぎ続けた。
「じゃあ、小梅もやっぱり行きます」
綾人が立ち上がるのに釣られるように小梅も立ち上がる。
「ちょっと、調べものあるの思い出しました」
そう言って、立ち上がるときに少し捲れたスカートの裾を直しながら千歳と千早の方へと視線を上げる。
「ちーちゃん達どうするの?」
「ん? ……ああ。千早一人にしとくのもあれだし……ちょっと俺もこいつと一緒に調べに行きたいところあるから。俺はやっぱり学校休むよ。風邪だって言っといて」
「……?」
一緒に行く場所があるという千歳の顔を千早が不思議そうに見あげる。視線には気が付いたが、なんとなく知らないふりをしてしまう。やはり女の姿をした自分を見るのはなんとなく躊躇われてしまう。
「うん。じゃあ、お昼休みにまた来るね。千早さんも一緒にご飯食べましょう? 千早さんのぶんもお弁当作ってきましたから」
「わたしのぶんも?」
「勿論です」

