「そか……理事長出張か……って。ええ!?」
さらりと綾人をスルーして話題を変えようとした千歳が、はっとして小梅へと勢い良く顔を向けた。
「……いつまで?」
「明日の夜戻るって」
千歳が慌てた理由に気が付いて小梅は気まずげに返した。そう。一番の容疑者。今回の千早の件に関して最も黒い疑惑を背負った張本人が今日はいないのだ。いきなり出鼻をくじかれたようなカタチになってしまった。
「そっか……仕方ないな」
千歳は眉根を寄せ頭を掻いた。一番疑いが強いだけに理事長に聞くのが一番手っ取り早いと思ったのだが、いないのでは仕方ない。ならば……
「行くしかねえよな」
ぼそりと呟く。当初の予定では、当り障り無く理事長に探りを入れてから、その反応を見てから探りに行こうと思っていたのだが……最も、そこに行けば一番手がかりが見つかりそうなのだが……なにぶん入るだけでもかなりの労力を使うのでなるだけ後回しにしたかった場所。そこを思い浮かべるだけで気分が重くなるが仕方あるまい。
「なあ、綾人」
笑顔を浮かべて千歳は綾人のほうを向いた。
「あのさ、お前知り合い多いよな? 千早のこと知ってるとか見たことある奴探してくんないかな? これ、お前が一番適任だと思うんだ」
「え?」
豹変した千歳の様子にきょとんとするも、千歳が珍しく頼みごとしているらしいことに気付くや否や、綾人はすぐに嬉しそうな顔になった。
「おお、つまりは千歳っちと同じ顔した女の子を知ってる奴いないか調べてこいと?」
「そのとおり。察しがいい奴は好きだぜ」
にこにこと頷いてみせる。

