「だから気色悪いってのがわかんねえのか阿呆」
拳を握ったところで、
「でもとってもかわいいですよね。似合ってますよね」
小梅の声がわりこみ、千歳は一気に毒気を抜かれた。
「……いや…………まあ、似合ってなくは……ないけど……」
背中の位置にいる千早をちらりと振り返り、千歳は口篭もる。正直――小梅が見立てただけあり、似合っているとは思う。けど、相手は自分と同じ顔をしているのだ……それを可愛いと自分が言ってしまうのはどうかと思う。はあ、と溜息を吐き俯く。
「とにかく、早いとこコイツの身元を割り出したいところではあるけど、とりあえず綾人と小梅は授業に戻れ。みんな揃っていないとあきらかにサボりだってばればれだろ。綾人はともかく小梅はそういうのまずいんじゃ……」
「ううん。平気だよ。今日はパパ出張だって言ってましたから、学校にはこないでしょうからすぐにはばれませんし、途中で気分が悪くなって帰ったとでも言えば大丈夫」
「俺も大丈夫だぜー……ってか、俺のことはどうでもいいみたいに聞こえたのは気のせいかな? 千歳っち」
「いや、実際お前のことはどうでもいいし」
途中で何かに気が付いた綾人のいぶかしむ声を千歳があっさり肯定すると、綾人は大げさに悲しげな顔をしてみせる。そういうところが千歳にとって非常に鬱陶しいというのが本当にこの男はわかっていないようだ。

