花は踊る 影は笑う~加賀見少年の非凡なる日常~


 その台詞に、聞き覚えがあった。ずっと以前、千歳もそう言った。
 小梅が幼い頃はまだ祖父が生きていて。祖父は優しかったが昔ながらの厳格なタイプで、どこに行っても恥ずかしくないようにと、特に言葉遣いには五月蝿かった。
 自然――語尾に『です』『ます』とつける癖がついていたのだが……千歳が側に居てくれるようになって、しばらくたった頃、自分と居る時はいらないよと言ったことがあった。
 試しに千歳の言う言葉を真似て喋ってみたら、千歳がとても嬉しそうにしたから。そして小梅自身、肩が軽くなったような気がしたから。もっと仲良くなれた気がして嬉しかったから――
 だから、それ以来。千歳にだけはくだけて話すようになった。
 うっかり崩れてしまった言葉に、千早は千歳と同じ反応を返した。
 何故だろう。顔や声だけでなく、仕草や……そしてそんな台詞ひとつとっても、本当に細かいところまで良く似ている。
 昨夜が初対面だったはず。千早も千歳も今まで互いに互いを知らなかったはずなのに……そんな二人がどうしてここまで似ているのかと思わずにいられない。
「これで、いい?」