少しだけの自己主張もあっさり却下され、それでも小梅の言うことに素直に従い言い改めようとするも、千早はわたしという言葉に違和感を感じているのか少し口篭もる。
そんな千早にお構いなく、小梅は紙袋からせっせと持ってきた服を出して品定めを始めた。静かに座っている千早に幾つかの服を当ててみて、首を捻りながらぶつぶつと……この色は合わないとかやっぱりこっちかしらなどと口走る。そんなことをしばらく繰り返した後、最終的に胸に切り替えのついた裾が広がる軽やかな黒いシャツと膝上丈の細身のパンツに決めたようだ。その二枚を千早に差しだし、
「シンプルなのがいいですよね。これにしましょう?」
笑顔で着替えを促した。
「……うん」
せっかくこんなに一生懸命に選んでくれたのだしと、千早は頷き小梅に背を向け、早速着ていた千歳の服を脱ぎにかかる。勢い良く捲くり上げられたパーカーから露になった真っ白な白い背中。
「あれ?」
その背中に何かを見つけた小梅が声を上げた。
「千早さんちょっとそのまま……」
「え?」
千早に動くなと言って背中に顔を寄せる小梅。
「なんでしょう? これ……何かの、文字?」

