その頃…

『トップW大…最後のたすき渡しです。2位以下に大差をつけた大学駅伝界のエース岩本、4年連続区間賞に十分なタイム1時間8分29秒を叩き出したぞ』

俺達流産の遥か前方を走るコイツのタイムが俺をスターに押し上げる為の基準となるわけだ。

貫禄十分なW大のエースは火照った身体を冷ますように水分を取りレースの行く末を見守る余裕を見せる。

最早敵など存在しないと言わんばかりの面持ちで…

まぁ実際に見た訳じゃないが…おそらくそうだろうってのは想像がつく。

だけどそんな余裕かましてるツラに風穴開ける為に俺は走り続けなきゃなんねぇんだ。

それが出来なきゃ出る意味なんか無い。

少なくとも俺は、そう信じている。