あたしは崎の家へと走った。
人間って不思議なものや。
5年間行ってない崎の家までの道を覚えてる。
大阪の街のことは忘れても、
崎のことだけは覚えてるねん。
どんなに忘れようとしても、絶対忘れられへんかった。
電車に乗って10分程で崎の家の近くの駅に着いた。
駅から歩いて5分程の所に崎の家はあり、
あたしは崎の家が近付く程、足取りが重くなっていった。
眞緒が言っていた“崎があたしを好き”という事実。
しかし、
崎の口からはっきり聞いたわけじゃない。
本当はあたしのことなんか好きじゃなくて、会ってくれんかもしれへん。
マイナスな考えばかりが頭の中を駆け巡った。
しかし、
あたしの足は止まることなく、崎の家に着いてしまった。

