「うん!ほらっ♪」


右手にしっかり握っていた物をゆっくりと広げた。


「え……これって…?」


「合格祈願のお守り♪楓君、もうすぐ入試でしょ?だから、あたしからのささやかなプレゼント!」


「………マジで?」


「うん!これできっと合格できるよ!だって、大吉だったあたしが選んだんだもん♪」


「…………」


感動しすぎて声が出ない俺。


「……ごめん、もしかして迷惑だった?」


不安そうな顔をして見つめる美鈴に、やっと我に返った。


「全っ然!まじサンキューな!肌身離さず持ち歩くし♪」


「…ホント?良かった~♪」


そう言って笑う美鈴はまじ可愛すぎて、俺はまた思いっきり抱き締めた。


「わっ!楓君、苦しいよ…」


バッと美鈴を引き離して、その目を真っ直ぐ見つめる。


「俺まじ頑張るから!一発で第1志望受かるから!」


「うん!」


「そしたら、一緒に色んなトコ行こうな!」


「楓君。それ、前も言ったよ?」


「…マジ?ま、とにかく早く合格するから!」


「うん、頑張ってね?」


「おぅ!任せとけ♪」


気合いを入れてそう答えると、美鈴はそんな俺を見て小さく笑った。








今日は、少し美鈴との距離が縮まった気がする。


今年も沢山の思い出を一緒に作っていきてぇな。


俺は急に温かい気持ちになって、繋いでいた手にそっと力を込めた。