歩いている間、もちろんあたし達に会話はない。


気まずい…誰か助けて!


そんな気持ちすら生まれた。


このまま会話無くして家に着くかと思いきや、楓君が口を開いた。


「…あのさぁ~」


「う…うん、何?」


「立川は大学どこ受けんの?」


「え?あたし?〇〇女子大学だよ」


「…女子大かぁ~。」


「…うん」


…何か、楓君いつもと様子違わない?


「…楓君は?」


「俺は、まだ決まってない…」


「あ、そうなんだ…サッカー強い所とかじゃないの?」


「それも考えたけど…強い所って絶対チームの団結力みたいのがねぇ気がすんだよな。だから行かねぇと思う。」


「…すごいね!」


「…何が?」


「それって、高校のチームメイトをすごく信頼してるってことでしょ?やっぱ青春だねぇ!」


固い絆で結ばれた仲間。


いつの間にかあたしは、気まずさなんて感じなくなっていた。


素直に笑っていられた。


「そういえばさ…あいつ誰なの?」


急に真剣な顔になって、楓君が真っ直ぐ見つめてきた。


「あ、あいつ…って?」