イミテイション



学校帰りはどこにも寄らずに、真っすぐ家に帰る。

何か欲しいとか、食べたいとか、そんな欲望は今のあたしには無かった。


マンションのエレベーターを待っていると、直人がやってきた。

会いたいと思ったことはあったけど、いざ会うとすごく気まずい。


「久しぶり」

先に話したのは直人の方だ。

「久しぶりだね」

すごくぎこちなくて、すごく距離を感じる。

しばらく無言になっていると、エレベーターのドアが開いた。