駄目。私には斗真がいる。




…どうしてそう言えないのだろう。




きっとそれは、尚ちゃんが大切だから…恋愛感情とかじゃなくて、友達、兄弟として。




「行くな…」




そう言って私にキスする尚ちゃんに、体の力が全て吸い取られていくかのように、私は拒む事ができなかった。




その間に、




「なんだよあれ…」




呆然としていて、廊下にうずくまる斗真がいる事を知らなかった。