放課後。




家に帰る途中、私はかすかに聞こえるセミの泣き声に耳をすましていた。




もう夏だなぁ…。




そう感じ、正門をくぐると、その先に矢崎先輩と知らない女の人がキスをしている。




………っっ!!




二人の光景を見て固まる私に、矢崎先輩も気付いたようで、私を見ながら目を見開いていた。




やだ…こんな矢崎先輩みたくないのに。




他の子とキスなんてしないで…。




不覚にも、そんな自分勝手な事を思う私自身が嫌になる。




でも嫌なの。




自分勝手でもやだ。