◆◆◆◆◆◆ 『みーやび!』 ――補習最終日。 補習の最後の授業が終わると、前の席の龍が振り返ってきてあたしの名を呼んだ。それも、満面の笑みで。 「なに、どうしたの」 あたしはその笑顔に少し引きながら、答える。 『明日、午後1時に雅んち迎えに行くから、支度して待ってろ』 「え、いきなり何よそれ」 『デートだよ、デート』 「はぁ?!」 『文句言ってねぇで、今日はさっさと帰るぞ』 「うわっ」 そう言った龍は、少し強引にあたしの手を引っ張り、昇降口へと足を急がせた。