「おはよう。急げよー」


正門まで着くと
男の先生が立っていた。


間に合ったんだ・・・。

思わず全身の力が抜けた。
駅から徒歩なら15分を
走って5分で来た。

季節はまだ肌寒い春だけど
身体から汗が噴き出していた。



よろよろしながらも
昇降口に向かい、
ガラスに貼ってある
クラス表を見る。

知り合いがいるわけでもない。
当然何のリアクションも起きなかった。


1年5組。



新しいローファーを脱いで、
新しい上履きに履き変える。



これから高校生活が始まるんだ。


もちろんまだ実感は湧かない。