2ヶ月くらい前。

 私はいつものように保健室のベッドで寝ていた。

 ふと人の気配に気付いて意識が戻る。

 煙草の匂いがしないから保険医ではないと思いながらも目を開けると、ベッドの横にあった椅子に誰かが座っていた。

 ネクタイをきちんと締め、ブレザーのボタンもすべてしている。

 なんでこんな所で参考書を読んでいるんだろ。サボりではないよね。


「あ、起きた?」

「……誰」

「俺のこと知らないの? けっこう有名人だと思っていたんだけどな」


 まったく知らないんですけど。